スキンケア成分の中でも特によく名前が挙がる「ナイアシンアミド」と「レチノール」。しかし、
と気になっていませんか。この記事では、ナイアシンアミドとレチノールの性質の違い、医薬部外品として承認されている効能の違い、併用時の考え方を、効果を強めに断定せず整理します。2026年7月時点の情報として、それぞれの成分をより詳しく知りたい方向けにナイアシンアミドの解説記事・レチノールの刺激との付き合い方へのリンクも用意しています。
ナイアシンアミドはビタミンB3の一種で水に溶けやすい性質を持ち、レチノールはビタミンA由来の成分で油に溶けやすく、光・熱・酸素の影響を受けやすい性質を持ちます。この性質の違いが、配合できる処方の形や、使用時に注意したいポイントの違いにつながっています。
| 観点 | ナイアシンアミド | レチノール(純粋レチノール) |
|---|---|---|
| 分類 | 水溶性ビタミン(ビタミンB3誘導体) | 油溶性、ビタミンA由来 |
| 安定性 | 比較的安定とされる | 光・熱・酸素の影響を受けやすく、製剤化での工夫が必要とされる |
| 医薬部外品としての承認効能 | 肌荒れを防ぐ、メラニンの生成を抑えしみ・そばかすを防ぐ、しわを改善する(承認例あり) | しわを改善する(2017年以降、承認例あり) |
| 併用しやすい成分 | 幅広い成分と組み合わせやすいとされる | 使用開始時は他の成分との組み合わせに配慮が必要とされる場合がある |
| 使用時に配慮されることが多い点 | 比較的マイルドな使用感に設計されることが多い | 使用開始時に乾燥・皮むけなどが起こりうるとされ、紫外線対策と合わせた使用が推奨されることが多い |
| 使用タイミングの目安 | 朝晩どちらの処方にも配合されやすい | 光に不安定なため、夜間の使用を勧める製品が多い |
ナイアシンアミドは、医薬部外品の有効成分として複数の効能について承認を受けている成分です。肌荒れを防ぐ効能、メラニンの生成を抑えしみ・そばかすを防ぐ効能に加え、2018年にはしわを改善する効能について承認を受けた例があります。
ここで押さえておきたいのは、こうした承認効能は「医薬部外品」として規定の濃度・処方で配合された場合に限られるという点です。化粧品にナイアシンアミドが配合されている場合、その成分自体は同じでも、化粧品としてうたえる範囲は「肌を整える」「うるおいを与える」といった化粧品の効能にとどまり、「しわを改善する」とは標ぼうできません。医薬部外品と化粧品で標ぼうできる範囲がどう違うかは、医薬部外品と化粧品の効能範囲の違いで詳しく整理しています。ナイアシンアミドという成分そのものについては、ナイアシンアミドの解説記事でさらに詳しく解説しています。
化粧品に配合される「レチノール」には、大きく分けて未加工に近い「純粋レチノール」と、安定性を高めた「レチノール誘導体」があります。このうち純粋レチノールは、2017年に医薬部外品の有効成分として「しわを改善する」効能について日本で初めて承認を受けた例がある成分です。
ただし、化粧品として販売されているレチノール配合製品の多くは、医薬部外品の承認を受けた製品ではなく、化粧品として配合されているケースです。この場合、うたえる効能は化粧品の範囲にとどまります。また、純粋レチノールは光・熱・酸素に対して不安定なため、医薬部外品として承認された処方では濃度や配合方法に一定のルールがある一方、化粧品には濃度上限の規定がないため、高濃度のレチノールをあえて化粧品として販売している製品も存在します。レチノールを使い始めた際に起こりうる乾燥・皮むけなどの使用感や付き合い方については、レチノールの刺激との付き合い方で詳しく解説しています。
ナイアシンアミドとレチノールは、性質の異なる成分として同じスキンケアの中で組み合わせて使われることが珍しくありません。ナイアシンアミドは比較的マイルドな使用感に設計されることが多く、レチノール使用時に生じうる乾燥や皮むけといった使用感を和らげる目的で、保湿系の処方と組み合わされることもあります。
一方で、レチノールを初めて使う場合は、少量・低頻度から始め、肌の反応を見ながら使用回数を調整することが一般的に推奨されています。日中に使用する場合は紫外線対策と合わせることが推奨されることが多く、妊娠中・授乳中の使用については医師に相談することが選択肢として挙げられることがあります。どちらの成分も、「毎日たっぷり使えば効果が早い」というものではなく、肌の状態に応じた使い方が前提になります。
スキンケアの手順としては、化粧水・美容液など水分を補う工程を先に行い、油分を含むレチノール製剤は仕上げに近い工程で使う設計の製品が多く見られます。ナイアシンアミド配合の化粧水・美容液を先に使い、その後にレチノール製剤を重ねる、という使い方を採用しているスキンケアラインも見られますが、これは一例であり、すべての製品・すべての人に当てはまる順番があるわけではありません。パッケージに使用手順の記載がある場合は、まずそれに従うのが基本です。
「どちらが優れているか」という比較よりも、「今の肌の状態や目的に対して、どちらの性質が合っているか」という視点で考えるのが現実的です。ナイアシンアミドは比較的幅広い肌質・使用シーンで取り入れやすいとされる一方、レチノールは使用開始時の慣らし期間や紫外線対策など、使い方に配慮が必要とされる場面が多い成分です。
成分表を確認する際は、「ナイアシンアミド」「レチノール」という表示名に加え、医薬部外品として販売されている製品かどうかをパッケージの表示(「医薬部外品」の記載や、有効成分欄の記載)から確認すると、承認された効能に基づく製品かどうかを判断しやすくなります。配合量そのものは成分表の記載だけでは分からないことが多く、成分濃度の見方で解説している考え方もあわせて参考にしてください。
気になっていることの傾向別に、検討されやすい成分の目安を整理すると次のようになります。あくまで一般的な傾向であり、肌の状態には個人差があるため、断定的な判断材料ではなく検討の出発点として捉えてください。
| 気になっていること | 検討されやすい成分の傾向 | 補足 |
|---|---|---|
| 肌荒れ・乾燥によるゆらぎ | ナイアシンアミド | 比較的マイルドな使用感に設計されることが多いとされる |
| 皮脂バランスの変化 | ナイアシンアミド | 皮脂分泌に関する報告がある成分として紹介されることがある |
| ハリ・キメの変化 | レチノール | 医薬部外品としてしわを改善する効能の承認例がある |
| 初めて機能性成分を取り入れる | ナイアシンアミド | 使用開始時に配慮すべき点が比較的少ないとされる |
ナイアシンアミドを検討しやすい方
レチノールを検討しやすい方
慎重に検討したい方
Q. ナイアシンアミドとレチノールは同時に使っても大丈夫ですか? A. 一律に「大丈夫」とは言えませんが、性質の異なる成分として組み合わせて配合されている処方も見られます。レチノールを初めて使う場合は、まず単体で肌の反応を確認し、様子を見ながら他の成分と組み合わせるのが現実的です。
Q. 医薬部外品と書かれていないレチノール化粧品には効果がないのですか? A. そうとは言えません。医薬部外品の承認は、規定の濃度・処方に対して与えられるものであり、化粧品として配合されている場合でも成分自体は同じレチノールです。ただし、化粧品としてうたえる効能の範囲は医薬部外品とは異なります。
Q. どちらから先に試すべきですか? A. 一律の順番はありません。肌の状態や目的によって選択肢が変わるため、比較的マイルドな使用感とされるナイアシンアミドから試し、肌の状態を見ながらレチノールを検討する、という進め方を選ぶ方もいます。気になる場合は皮膚科専門医に相談することをおすすめします。
Q. ナイアシンアミドとレチノールは、片方だけでも十分ですか? A. 必ず両方を使う必要があるわけではありません。肌悩みや使用感の好みに応じて、どちらか一方を選ぶ、あるいは両方を段階的に取り入れる、といった選び方も可能です。まずは自分の肌の状態に合わせて検討するのが現実的です。
ナイアシンアミドとレチノールは、水溶性か油溶性かという性質の違いに加え、医薬部外品として承認されている効能の範囲も異なる成分です。ナイアシンアミドは肌荒れ防止・しみそばかす防止・しわ改善など複数の承認例があり、レチノールはしわ改善についての承認例があります。
どちらも化粧品として配合される場合はうたえる効能の範囲が異なる点を踏まえ、ナイアシンアミドの解説とレチノールの刺激との付き合い方もあわせて確認しながら、自分の肌の状態に合う成分・使い方を検討することをおすすめします。
※ 本記事は全成分表示に基づく成分情報の可視化であり、医学的助言や効能効果の保証ではありません。肌の状態には個人差があります。気になる症状がある場合は皮膚科専門医にご相談ください。